テニスにおいて、「上手い人」=「強い人」ではありません。
ここを区別して考えている人は意外にも少ないですが、試合で勝ちたいなら「強い人」を目指すべきです。
というか、「上手い人」は簡単にはなれませんが、強い人には考え方次第でなることができます!
では、「強い人」になるためにはどうしたら良いのか、強い人の特徴を書いていきたいと思います。
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「上手い人」と「強い人」の違い
そもそも、上手い人と強い人の違いって何でしょうか?
上手い選手は「かっこいい」
一般的に、上手い人というのはこんなイメージだと思います。
- フォームがきれい
- 球が速い
すごく速いサーブを打ってきたり、平面のストロークでガンガン打ち込める選手は強く見えますよね。
まさにフェデラー選手などがそうです。
また、フォームが洗練されていて淀みのない人も強そうに見えます。
まさにフェデr(以下略)
これはプロ選手を見ているからだとおもいますが、やはりこのような選手は上手そうに見えますよね。
強い人は「泥臭い」
一方、強い人とはどんな人でしょうか。僕の考える強い人とはこんな人です。
- 簡単にミスをしない
- 頭を使ってテニスができる
- 最後まで諦めない
我々アマチュアプレーヤーが勝ちたいのなら、目指すべきはこのような選手だと思います。
なぜ「強い人」を目指すべきなのか?
答えはかんたん。先ほども書きましたが、「上手い人」には簡単にはなれないけど、「強い人」には考え方次第でなれるからです!
もちろんテニス界には「上手くて」「強い」選手もたくさんいます。
ただ、「上手くて」「強い」選手というのはすでにかなり高いレベルにいる選手なんですよね。
テニスを数年やったくらいで簡単に目指せるものではありません。
それに、「上手い」と言われる選手になれるかどうかの半分くらいはフォームがカッコイイかに懸かっているのですが、ぶっちゃけフォームはそう簡単に変わりません!
初心者の頃からフォームがかっこいい人もいますが、そういう人を除けば、僕ら一般ピーポーのフォームが、ちょっと意識して練習したくらいで劇的に格好良くなることはほぼないでしょう。
また、「強い人」にこだわってずっと練習し続ければフォームは長いことかけて少しずつ洗練されていきます。
だから、個人的にはフォームが汚いからといって無理に直す必要もないと思ってます。
ですが、「強い人」というのは考え方を変えるだけで誰でも目指すことができます。
そこでここでは「強い人」の考え方を知るために、「強い人」に共通する考え方を紹介していきます!
「強い人」に共通する3つの考え方
強い人の特徴は大きく分けると3つ。
- 簡単にミスをしない
- 頭を使ってテニスができる
- 最後まで諦めない
この3つです。これらをもっと詳しく掘り下げていきます。
簡単にミスをしない
強い選手の特徴として、簡単にミスをしないというのがあります。
平たく言ってしまえば、強い選手=頑張れる選手なのですが、そうなる前提として簡単にミスをしないことは必須だからです。
特に、強い人に共通しているのが、「簡単そうなショットをミスらない」ということ。
例えば
- なんでもないストロークの打ち合い
- チャンスボールの打ち込み
- セカンドサーブ
など。試合で弱い人は意外とこういうショットを雑に打ってミスしたりしますが、強い人はこういうショットを絶対にないがしろにしませんし、ミスしません。
「強い選手」はこういった、「入れて当たり前」に見えるショットを当たり前に入れる技術があります。
当たり前を当たり前にこなしているだけですが、これが超大事。
なぜこれが大事かというと、「強い選手」とは頭を使える選手であり、頭を使ってプレーするためにはショットが入るかどうかに頭を使ってる余裕はないからです。
当たり前に入るショットが当たり前に入って初めて、作戦に頭を回すことができるんですね。
簡単にミスしないことは、強い選手になるための当然の前提だということです。
頭を使ってテニスができる
「強い選手」に一番大事なのが、頭を使ってプレーすること。
では、彼ら強い選手が頭を使って何をしようとしているか。答えはシンプルです。
攻守ともに最もリスクバランスのとれたショット選択をする
彼らが考えているのはこれだけ。コレでは抽象的なのでもう少し具体的に言うと
- 相手の苦手を突く
- 適切なリスクを取る
- そのために手段を選ばない
これらがとても大事です。
相手の苦手を突く
シンプルですが、攻撃のときも防御のときも相手の苦手をつくことはテニスで一番効果的な戦略です。
例えば、相手がバックハンドストロークが苦手だとしましょう。
この相手からの浅い球に対して、アプローチを打ってボレーに出る時どちらにアプローチを打ちますか?
とりあえずバックに打ちますよね。
とてもシンプルですが、これが頭を使うということです。
今度は相手がボレーに出てきたらどうでしょう?
今度は相手がボレーを苦手としている方に打てば良いのです。
具体的には、バックボレーが苦手なら緩くてもいいから確実にバックボレーを打たせる、といった感じ。
今は苦手をフォア、バックに分けて説明しましたが、これは別にフォア、バックに限ったことではなく
- 相手がスマッシュが苦手なら高いロブを上げたり
- ローボレーが苦手なら沈めたり
- バックハイボレーをたたけない相手ならバックハイに中弾道のロブを上げたり
- 速い球が苦手ならボディーに思いっきりぶつけたり
相手の苦手を狙うことで、闇雲に打つよりも、攻撃、防御ともに低いリスクでポイントを取ることができます。
もちろん、「相手の苦手を狙うのはズルくてあまりやりたくない」とか、「得意をぶつけ合ったほうが楽しい」と思う人もいると思います。
僕も昔はそう思っていましたし、そう思うのはそれはそれでいいと思います。
ただ今では考え方が変わりました。
テニスは真剣勝負ですから、相手に弱いところがあったら狙うのは当然であり、弱点を知っていてあえてそこを狙わなかったり、相手の苦手を探る努力をしなかったりするのは、真剣に勝負していないとも言えるんじゃないかな、と。
勝負に情けをかけるのは失礼では、という考え方ですね。
対戦相手を忖度する気持ちが、失礼なのでは?と最近では思うようになったんですね。
また、苦手なら練習すればよいだけで、そこを狙われて負けるなら練習しないその人が悪いのです。
苦手なショットであっても、大抵の場合練習しまくればうまくなりますしね。僕もバック苦手でした。
個人的には苦手を探って全力でそこを狙うことが、勝負の相手としての最低限の礼儀じゃないかなと思います。
だから、弱点を狙うのに躊躇する必要は全くありません。
適切なリスクを取る
また、頭を使える選手はリスクの取り方が上手いです。
リスクをうまく取るというのは、消極的すぎても積極的すぎても駄目で、そのバランスをうまく考えられるということです。
例えば、ダブルスで、味方のサーブであなたが前衛だとしましょう。あなたはポーチで味方を助けたい状況です。
しかし、ポーチにはクロスに来た球を決められるというリターン(紛らわしいw)がある反面、ストレートを抜かれるというリスクがあります。
あなたはこのバランスを上手に取らなきゃいけません。
ここで仮に、相手のリターナーがストレートに打つのがめちゃくちゃ上手い相手だとしたら、ポーチに出るのはリスクが高くなります。
逆に、相手がクロスリターンしかできなかったらポーチに出るリスクは小さくなります。
リスクが小さいときには、積極的にリスクをとっていくという判断ができます。
こういったリスク考えることが強くなるためにはとても大切です。
また、リスクを考える基準は、何も相手の技量だけではありません。
例えば、同じ状況でも
- 相手が前のポイントのリターンでストレートを抜いている
- 相手は前のポイントのリターンをストレートに打ってミスしている
これだとまたリスクが違ってきますよね。
前のポイントでミスっているなら、幾らストレートリターンがうまい相手でも一球クロスに入れに来る可能性は高いですし、相手がそういう逆境で裏をかく作戦が好き人ならそうとも限りません。
そういう色んな情報をもとに、常に
リターン>リスク
となるように動けるのが頭の使えるプレーヤーであり、強い選手です。
勘違いしてほしくないのですが、これはもちろんリスクを取るなということではありません。
リスクは取らなすぎるとかえってそれがリスクになります。
例えば、雁行陣で後衛が打ち負けているのに前衛がいつまでたってもポーチに出てくれなかったら、ほっといたら負ける確率のほうが高いですよね?
こういうときは多少無謀かもしれなくても、動いたほうが負けるリスクは小さくなります。
リスクのとらなすぎも逆にリスクになりうるということですね。
そのために手段を選ばない
また、強い選手は上記のことを実現するために手段を選びません。
- かっこいい速いサーブを打つより、ファーストサーブの確率を上げてダブルフォルトの確率を減らしたり
- キツイ姿勢で無理してストロークを打つよりスライスで凌いだり
- 相手の平行陣が崩せなかったらひたすら高いロブを上げ続けたり
テニスはいつもかっこよく同じように打ち続けられるスポーツじゃありません。
同じ球は2度と来ないのに、毎回1/1000秒単位のズレがミスショットに繋がるレベルでシビアな打ち合いをしているのです。
簡単にミスらないようにしたり、必死に考えて相手の弱点を突いたりするには、フォームや体裁に拘っている余裕などないのです。
キリオスを見てください。相手のペースを崩すために使える手段は何でも使ってます。
すみません、マイケル・チャンのアンダーサーブ貼りたかったんですが見つかりませんでした…
事実、僕のサークルの先輩で2番目にシングルスで強かった先輩はフォームも格好良くないし、球は全然速くありませんでした。
ですが、とにかくどんなに厳しい体勢からでも深くロブを返し続けてきましたし、こちらがボレーをしてもすごい速さで走って精度の高いパッシングを打ち続けてくるから、全然勝てませんでした。
ちなみに↓の記事を書いたのはその先輩がきっかけです(笑)
見た目が強くなさそうでも、こういう相手は皆とても手強いです。
最後まで諦めない
最後に、強いプレーヤーに共通していることは、どんな劣勢でも常に本気で逆転できると信じて諦めないこと。
タイムリーにも今日引退してしまったダビド・フェレール選手も、引退会見でこう語っていたそうです。
フェレールのラスト会見。スペインの記者やATPの広報ら総勢20名くらいとの集合写真で締めくくりました。「I am very lucky man」と何度も繰り返し、自分がテニス界に何か残した物は何かと問われ「最後の1ポイントまで諦めない姿勢」と控え目に語る姿が、彼を象徴していたように思います。
— Aki Uchida (@aki0721) May 8, 2019
フェレール選手らしい言葉で余計に寂しくなりますね。
彼も言うように、強い選手はみな例外なく「最後まで諦めない心」を持っています。
並の選手は、劣勢になって気持ちが沈んだ勢いを引きずり、そのままズルズルと負けてしまいます。
しかし、強い選手は諦めなければ勝利の可能性があると本気で信じて走り続けます。
こう書くと「そんなの綺麗事だろう」と思うかもしれませんが、あながちそうでもないんですよね。
テニスというのは勝ちが近づけば近づくほどメンタルのコントロールが難しくなるスポーツだということは、テニスをやってる人なら皆知っていると思います。
この記事でも書きましたが、テニスは本当にメンタルゲー。
勝てそうな状況が一番ヒヨるんですよ。いやまじで。
そのプレッシャーの中でも、しっかり自分のプレーを続けて、積極性を失わずに決めきって、そこで初めて勝つことができます。
そんな難しいメンタルで何が一番嬉しいかって、相手が諦めてくれることです。
相手が諦めてくれれば、あえてこちらからリスクをとり続けなくてもそのうち勝てるだろうと、心に余裕が生まれるんですよね。
ですが相手が最後まで執念深く返してくると、この難しいメンタルを乗り切れず、勝てそうだったのに相手に流れを渡してしまうことがザラにあります。
「○度のマッチポイントを凌いだ錦織が逆転勝利を収めました」といった報道をよく見るのがその証拠です。
テニスにおいて劣勢からの逆転って、全然珍しいことじゃないんです。
劣勢からの逆転を本気で信じている強い選手は
- ギリギリ追いつけなそうなときでも絶対に最後まで走ってラケットを伸ばす
- 相手の打ち込みに対してもボレーに向かっていく
- スマッシュを打たれそうなら観客席に飛び込むくらい下がる
こういうことを当たり前のようにやります。
泥臭くても、こういったプレーの積み重ねが相手にプレッシャーを与えるから
「簡単には勝てない相手」
になることができるのです。
まとめ
「強い選手」と「上手い人」はぜんぜん違います。強い選手とは
- 簡単にミスしない
- 常に頭を使っている
- 最後まで諦めない
これを極めた人です。
おそらくこれを極めた頃には、あなたは強いだけじゃなく誰が見ても「上手い選手」になっていると思いますけどね(笑)
僕は大学の間こういうテニスを学んで強くなれたので、試合に勝ちたい人はぜひやってみてください。
おしまい。