テニスのダブルスで相手がサービス&ボレーをして平行陣を敷いてきたとき、ツーバックで対応しなければいけない時に不利になってしまうことはありませんか?
今日は、そんなとき後衛側が平行陣を崩すために必要な戦略をお伝えします!
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平行陣を崩すコツまとめ
まず簡単に、相手平行陣を崩すために有効なショットをまとめるとこんな感じ。
- 短く沈むスピンで相手のボレーを浮かせる
- スピンロブで平行陣の前衛の頭上を狙う
- ショートクロスへ打って平行陣の後衛を崩す
- 深いスライスロブを取らせて相手を下げる
これらのショットで相手の陣形を崩したり、浅いボレー、浮いたボレーを引き出して
- 浅い球をアプローチしてボレーボレー
- もう一度スピンロブで平行陣の前衛を抜く
- もう一度ショートクロスで平行陣の後衛の横を抜く
などの決めるためのショットでポイントを取るのが基本です。
崩しのショットと決めのショットをうまく組み合わせることで、相手に的を絞らせずにポイントを取ることができるわけです。
それぞれのショットの使い方などを詳しく見ていきましょう。
短く沈むスピンボール
平行陣と戦う上で最も基本となるのがスピンの掛かった短い(低い)ストロークです。
当たり前ですが、相手が平行陣をしいているのはボレーで時間を奪い、浮いた球を決めるためです。
ネットに近いところに立っている以上、ボレーヤーにとって、 浮いたストロークは早いタイミングで打てる上、角度をつけることができる格好の餌食です。ネットを気にする必要がないので速い球を返すこともできます。
逆に、沈んだ球を打たれるとネットが近いため、後衛でストロークをする時以上に高い角度で(上に向かって)打たなければならず、さらにアウトしないためには遅い(距離の出にくい)ボレーで返すしかありません。
そのため浮いたストロークを打つよりも圧倒的にボレーが浮くことが多くなります。
ですから、平行陣相手にストロークを打つときには必ずスピンをかけて沈めましょう。ボレーヤーに対して浮いたストロークを打つメリットは一つもありません。
ストロークを短く沈めるコツ
浅くスピンの効いたストロークを打つには2つのコツを意識してください。それは
- 腰を落として必ずボールの下からラケットを入れる
- ボールの軌道の頂点をネットの1mくらい前にイメージする
他にも色々コツはありますが、特に対平行陣のストロークで意識するべきはこの2つです。
腰を落として必ずボールの下からラケットを入れる
一つ目はスピンをかけるコツです。
ストロークを沈めるためにはスピンをかけた方が楽です。スピンをかけるためには下からラケットを入れなければなりません。そのためには 腰をボールの位置に合わせて低く入れる必要があります。
いくら下から上に振ろうとしても、腰が高ければ意味がありません。
ボールの軌道の頂点をネットの1mくらい手前にイメージする
二つめは、短いストロークを打つためのコツです。打つ前に自分のボールが描く放物線をイメージしましょう。
ネットの真上〜相手側を軌道の頂点とするシングルスのラリーと違って、対平行陣のストロークでは ボールの軌道の頂点を必ずネットより自分側にイメージする必要があります。
頂点が毎回どこか確認することは難しいですが、あくまでイメージで良いので常にネットの手前を最高点に落ちる打球をイメージしてください。
スピンロブで平行陣の前衛の頭上を狙う
↑うまくバックハイを狙って崩していきましょう。
下がって取らせることで相手の平行陣を崩すためには、スピンロブが欠かせません。
よく言われる平行陣というのは2人とも前衛にいるように見えて、実は平行陣の中でも後衛と前衛に分かれて、サービスラインより前でミニ雁行陣のようになっています。
後衛→コートカバー、つなぎのボレー担当
前衛→決めボレー担当
といったように役割分担がなされているわけです。
スピンロブをこの平行陣の前衛の頭上に打つことで、相手の平行陣を崩すことができます。
スピンロブのコツ
スピンロブで平行陣を崩すために意識するべきコツは
- 余裕のあるときに積極的手段として打つこと
- 一発で抜きにいくことより、相手の陣形を崩すことを優先すること
です。
よくやってしまうこととして、相手から鋭いボレーが来て劣勢な状態からスピンロブを打とうとしてボールが飛ばずにスマッシュされてしまうことがあります。
しかし、 スピンロブは距離や高さのコントロールが難しく、鋭いボレーが飛んできているなど不利な状況ではかなり高い技術が要求されますし、何より不利な状況ではロブを打つことがばれやすいです。
なので、スピンロブはなるべく
- 構えて打てる時間的余裕のあるとき
- 相手のボレーが浮いてきたとき
に打つべきです。こういうときにスピンロブがしっかりと打てれば、相手はいろんな選択肢を考えなければいけないため、かなり有効なショットとなります。
そして、先程も書いたように スピンロブは距離と高さ、スピン量のコントロールが難しいショットですし、少しミスすればただのチャンボです。十中八九入れられる自信がなければ一発で抜きにいくのはやめましょう。
スピンロブは、確かにスピンを強くかけて相手前衛を抜くことができればエースになる可能性は高いですが、 エースにならない球でも相手にバックハイで触らせることができれば十分チャンスボールが来る可能性は十分あります。
2つ上の動画でも平行陣の相手のバックハイボレーで触らせて崩しています。動画ではその後うまく前衛にぶつけてボレーボレーに持ち込まれてしまいますが…。
スピンロブは、一発でエースにならなくとも、ゆるめに打って触らせるだけでチャンスを作れる可能性のある、ローリスクハイリターンなショットなのです。コスパがいいんです。
ショートクロスへ打って平行陣の後衛を崩す
↑ショートクロスからのショートクロスはかなり実戦で使えます。それにしてもうまい。
これは今回紹介する中で一番難しいショットです。一番最初の短いスピンボールをよりきつい角度により短く打つのがショートクロスであり、高い技術が要求されるためですが、これが安定して使えると非常に効果的です。
動画では逆クロスのショートクロスが決まっていますが、とても難しいショットなのではじめは順クロスのショートクロスから練習してみると良いです。
ショートクロスを正確に打てるようになると、他の崩しのショットがさらに効果的になります。特にスピンロブはショートクロスと相性がよく、両方打てるようになるとどちらも非常に効果的なショットになります。
理由は、平行陣の後衛が味方の頭上に上がったロブをケアすることと、ショートクロスをケアすることとでは全く反対の意識が必要だからです。
つまり、 ロブをケアしているときにショートクロスに打つことができればエースになりやすいですし、逆にショートクロスに意識がいっているときにスピンロブを打つことができれば反応が遅れやすくなるのです。
ショートクロスのコツ
ショートクロスを打つコツは2つ。
- 基本のストロークよりスピン量を増やす
- 基本のストロークより頂点を自分側に意識する
基本的には最初に紹介した平行陣に対する基本のストロークと同じです。ただ、スピン量はより多めに、軌道の頂点はより手前に持ってくる意識があるとうまくいきやすいです。
ただ、ショートクロスにも注意してほしい点がいくつかあって
- 自分が有利なときに積極的手段として打つこと
- 浮くとただのチャンスボールなので確実に沈めること
- 相手がネットに詰めて来るときには打たないこと
には注意してください。基本的に難しいショットな上、少しでも浮かすとチャンスボールになってしまうリスクがあるのでなるべく自分が有利な状況のときに打ちましょう。
また、平行陣の後衛が詰めてきたときにもショートクロスを打とうとすると、一発で決められる可能性が非常に高いのでなるべくやめましょう。
具体的に、相手が詰めてくるタイミングというのはロブを打ちにくそうなタイミングですから、相手から低めの速いボレーなどの良い球が飛んできたときにはなるべくショートクロスは打たないようにしましょう。
深いスライスロブを取らせて相手を下げる
上記の3つに加えて補助的に使えるようにしておきたいのがスライスロブです。
スライスロブではスピンロブほど相手を崩すことはできませんが、相手の視線を上下させ的を絞らせないためには必要なショットといえます。
↑スライスロブうますぎ、グランドスマッシュうますぎ。
特に、相手にロブを安定して返す技術がない場合にはこのスライスロブを守備的に上げ続けるだけで相手にミスをさせることができます。
また、相手に確実にロブを返す技術があったとしても、深めのスライスロブならば相手の返してくる球はあまり強くない場合もあるので、そういった返球をボレーしたり、打ち込んだりすることでポイントに繋げられるので覚えておくと役に立ちます。
スライスロブのコツ
コツは、コンチネンタルグリップで、ボレーと同じようなフットワーク、ラケットワークを使ってロブを上げるだけです。ラケットをなるべく振らず、フットワークをうまく使って飛ばせると安定します。
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ただ、スライスロブはスピンロブとは違って、スマッシュがうまい相手だと一発で決められるリスクがあるので気をつけましょう。
ここからはこうして相手の陣形を崩したり、甘い球が返ってきた時に決める方法を解説します。
浅い球をアプローチしてボレーボレー
相手の返球が浅いところに来たときにはアプローチショットを打ってボレーボレーに持ち込みます。この時、なるべく早く、前で打点に入れたほうが打つようにしましょう。
浅いドロップに対するアプローチ
1つめのパターンとして、短く沈むスピンボールやショートクロスに対する相手の低く短い返球があります。この場合は腰をボールの高さに合わせて低くし、ボールを白帯に向かって下からしばきあげるように振り抜きます。
このショットは思いっきりスピードを出そうとしてもアウトする可能性が高く、また相手にちょうどいい高さでボレーさせてしまうことになるため、 難しいですが頑張って沈めて、相手にネットより低いところでボレーさせます。
うまく沈めることができれば高確率で前衛が決めてくれるでしょう!
浅いチャンスボールに対するアプローチ
2つめのパターンは、スピンロブや突き球などで相手を崩し、浮いた浅い球が来る場合です。こういう場合は しっかりと構えて相手の足元に速い球を打ち込みましょう。
思いっきりスピンをかけて相手の足元に沈める方法もありますが、構える時間が十分にある場合、経験的にスピンより速さ重視にしたほうがポイントにつながりやすいので、僕は速さ重視で打つようにしています。
アプローチのコースはセンターが基本
また、セオリーから言うと アプローチを打つべきコースはセンターです。理由は
- ネットが低くアプローチが通りやすい
- 味方が次のボレーで絡みやすい
からです。
どんなに強く速い球をぶつけられる自信があっても、基本的には自分側のストレートにアプローチをするのは得策ではありません。
出会い頭のボレーだとしても自分と味方の間へのボレーが決まる可能性が高い上、味方前衛が絡みにくくポイントにつながりづらいからです。
アプローチのあとはボレーボレーで決める
また、ボレーボレーは先にネットに詰めたほうが勝つので、 味方がアプローチショットを打つときには味方のショットが沈むと信じて味方よりも早く前に行き、しっかりセンターよりのネットに詰めて相手のブロックボレーを叩きにいってください。
ここで味方のアプローチが浮いて自分に叩き込まれたとしてもそれは浮かせた味方のミスであり、しょうがないと諦めましょう。
自分が下がっていればいいじゃないかと思うかもしれませんが、下がって相手のボレーをキャッチしたとしても次で決められる確率が高く、なかなかポイントにはつながりません。
再度スピンロブで平行陣の前衛を抜く
先に書いたように、ロブや突き球で相手を崩したあとに浮いた球が返ってくる場合があります。
この球が浅い場合は迷わず前述のように速いアプローチをセンター打つのが一番良いのですが、 この浮いた球がそれなりに深い場合には、速い球だけでなくスピンロブも選択肢に入れておきましょう。
時間的に余裕があればしっかり構えることができて一発で抜きに行くスピンロブが打てる上、平面をうつのかロブを打つのかを隠すことができるため相手に的を絞らせることがありません。
特に、ショートクロスに打って相手に沈め球を意識させたあとにスピンロブを打つのはかなり有効です。難しい技術ですが、うまくできれば試合でも十分使えます。
再度ショートクロスで平行陣の後衛の横を抜く
相手がロブの返球などで陣形を崩された後、再びショートクロスに打つのもかなり有効です。
例えば、スピンの沈め玉を返してきた相手の球が浮いたとき、相手が「強いストロークか、ロブかどっちか」と考えを巡らせているときに、ショートクロスに打てばエースになる可能性もあります。
ただ、そもそもショートクロス自体が難しいハイリスクなショットなので、 あまりやたらと打たないようにしましょう。一球でも意外性のあるタイミングでショートクロスを決めることができれば相手には十分印象に残ります。選択肢として意識させれば十分なのです。
まとめ
平行陣を崩すには相手にいろんなショットを意識させることが大切です!
平行陣を崩すために、僕が日頃使っているショットをたくさん紹介しました。全部いっぺんにやろうとすると大変なので、一つ一つ試合や形式練習でモノにしていき、最終的には
何を打ってくるかわからない…
と思わせることができれば平行陣を崩すのはそれほど難しくありません。
崩し、決めのショットをモノにしてダブルス強者を目指しましょう!!
それではっ。
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